ふと我に返り、鏡の前の私を見つめた。
ダークブラウンのブレザーに、エンジ色のリボン、チェックのプリーツスカート。
桜山女子高等学園の制服を身にまとった私、綾瀬 奈桜(あやせ なお)は今日から晴れて高校生だ。
パパは今日も仕事で朝早くから出かけて行った。ママも自分のブランドの企画説明会が重なって一緒に行けないからと、学校までタクシーを手配してくれていた。
別に、もう慣れっこ。
中学の卒業式だって、校門の前で写真だけ撮って慌てて仕事に戻って行ったし。
この学園に入った私は、パパとママのステータスの一部に過ぎない。
ピンポーン
家のインターホンが鳴った。
「やばっ」
タクシーの運転手が迎えに来て、私は慌てて家を飛び出た。
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