文化祭実行委員の仕事は、思っていた以上に細かくて大変だった。

当日もやらなきゃいけない事が山積みで、ゆっくり楽しむなんてやっぱり無理そうだ。


「綾瀬、その表もう1回見せて」

小幡先生に呼ばれて、慌てて資料を持っていく。
大変だけど、頑張れるのは。先生がいるからだ。


「ここ、クラスごとの時間がズレてるな」

「えっ、ほんとですか?」

先生の隣に立って、一緒に紙を覗き込む。


「ほら、ここ」

あっ…近い

至近距離で目が合って、顔から火が出そうなほど熱くなった。
誤魔化すように示された場所を追いながら、時間配分と資料を照らし合わせる。

「ほんとだ…」

「ほら」

いたずらに微笑む先生が、凄く眩しかった。
独り占めしたいって、思ってしまった。


「でも、無理はするなよ。綾瀬はすぐに頑張りすぎるから」

「はい」

ふと目を落とした先に、違和感を感じた。

あれ?


先生、指輪してない。


でも、それ以上何も言えない。

先生はまた別の場所で他の生徒と打ち合わせをしている。


たまたま今日指輪を忘れてるだけかもしれない。


変な事考えるのは、やめよう。

そう思っても━━━━

視線は、どうしても先生の左手を追ってしまう。


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