「文化祭…実行委員…」


来月の文化祭に向けて、実行委員を決めることになり、見事にくじ引きで当たってしまった。


「それでは、綾瀬さんよろしくお願いします」

学級委員の宮島さんが黒板に私の名前を書き、パチパチと拍手が起きる。

文化祭実行委員て、めちゃくちゃ忙しいじゃん!文化祭楽しめないじゃん!


こういう時、だいたいぐじ運悪いんだよな…

考えれば考える程憂鬱になって、項垂れる。


放課後のスケジュール表ママに相談しないと。
一学期の成績が悪くて、夏休みは家と塾の往復の毎日だった。
カンカンに怒っていたママの顔は物凄く怖かった。
あぁ、また期待に応えられなかったんだ、私。そうやってママの顔色をうかがって虚しくなる。そんな自分も大嫌い。


文化祭実行委員の集まりは、放課後の特別教室で行われていた。

「じゃあ、この配置でいくから、実行委員は各クラスに伝えてください」

前に立って説明しているのは、小幡先生。
正直、見惚れて内容が何も入ってきていなかった。

━━━━担当、先生なんだ。

文化祭実行委員最高。
さっきまでのどん底から一転して、ドキドキ胸が高鳴っている。


「…綾瀬、ここの担当だったよな」

「はい」

名前を呼ばれるだけで、こんなに嬉しいなんて。


「ここ、動線ちょっと詰まるかもな」

そう言って、先生は私の持っている資料を覗き込む。
自然に距離が近くなって、それだけで意識してしまう。

「ここを少しこうしてズラすか」

長い指が紙の上をするりとなぞる。
そのすぐ隣に自分の手。

綺麗な陶器のような肌に、髪がかかって影を落としている横顔を無意識に眺めていた。
まつ毛も長いんだ…


.