パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語

「……なんだい、あんた。妙な言葉を話すねえ。もしかして、魔法人かい?」

 兵士団長が「失礼だぞ」と制止しようと一歩踏み出しましたが、パフェはそっと手を挙げてそれを止めました。

「イエース(左様です)。パフェと申します。……ねえ、あそこにある広場は何かしら?」

 彼女が指差した先には、木板を組み合わせて作られた古ぼけた舞台がありました。
 その周囲には、誰が並べたのか、いくつものテーブルと椅子が整然と置かれています。

「ああ、あれかい? 毎年やっている『秋祭り』の舞台だよ。見ての通り、今は戦争でそれどころじゃないっていうのに。どこかの物好きな馬鹿が、今年もやると勘違いして、勝手に納屋から運び出したんだよ」

「秋祭り? 素敵ね。具体的にはどんなことをされるのですか?」

「……ダンスだよ。でもねえ、音楽を奏でる気力も、踊る余裕もありゃしない。今はそんな気分じゃないんだよ」

 婦人は吐き捨てるように言うと、再び作業に戻りました。
 パフェは黙ってその舞台を見つめます。

 人々の心から希望が消えかかっているこの場所で、主のいない椅子とテーブルだけが、静かに祭りの始まりを待っているようでした。