パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語

 ーーその頃、西の国。

 薄暗い謁見の間では、明日に迫った東の国への侵攻について、王と負の魔法使いジルバが言葉を交わしていました。

「……明日。いよいよ、戦(いくさ)が始まるのだな」

 王の呟きには、隠しきれない躊躇(ためらい)が混じっていました。
 しかし、ジルバはその一瞬の揺らぎを逃さず、冷酷な笑みを浮かべて詰め寄ります。

「なんだい、王様。今更になって後悔かい? 無駄だよ。あんたはもう、私と血の契約を交わしちまったんだ。今更引き返せる道理なんてありゃしないよ」

 ジルバの鋭い声に、王や側近たちは一斉に身をすくませました。

 彼らが抱く「不安」と「恐怖」は、黒い霧のような負のエネルギーとなってジルバの元へ吸い込まれ、彼女にさらなる活力を与えていきます。

 ジルバは醜く顔を歪めてニヤリと笑うと、王の耳元で甘く毒をささやきました。

「……明日になれば、あんたの勝ちだよ」

 その言葉に、王の瞳から光が消え、まるで操り人形のように力なく答えました。

「……そうだ。私の、勝ちだ」

「そうだよ。憎い、憎い東の国を、木っ端微塵に叩き潰せるんだ」

「……そうだ。憎い東を倒せる。私の……勝ちだ」

 王が呪文にでもかかるように言葉をなぞると、ジルバは広間中に響き渡る高笑いを上げました。