パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語

 指先をそっと動かし、まるで汚れた窓を拭うかのように空間をなぞります。
 すると、街を覆っていた重苦しい「負の空気」が、その部分だけ霧が晴れるように消え去りました。

 開いた空の隙間から、一点の濁りもない銀色の月光が溢れ出し、橋の上にいるアヒルへと真っ直ぐに降り注ぎます。
 まばゆい光の粒子に包まれ、アヒルの輪郭が揺らめきながら、しなやかに伸びていきました。

 光が収まったそこには、羽毛ではなく絹のようなドレスを纏った、透き通るほど美しいお姫様が立っていました。
 信じられない思いで自分の手を見つめる姫の姿に、シエン王子の瞳に涙が溢れます。

「ああ……ヴィオラ! 夢じゃないんだね、ヴィオラ!」

 二人は手を取り寄り添いました。
 パフェは作ろう笑顔で、話します。

「御免なさい。酷だけど、その姿は一瞬だけ。私にはまだこの負の魔法を止められないの」

 二人は驚き、現実を受け止めました。

「ヴィオラ……姫よね。だけどどうして、この姿に」

 王子はヴィオラ姫を見つめ考えると、その訳を話しました。