パフェの魔法:それは、あなたが望んだ物語

 これは、遠い遠い昔のお話。

 人里離れた深い森の奥に、人知を超えた力を操る一族がひっそりと暮らしていました。
 跡形もなく万物を溶かす火を放つ者、天を割り激しい雨を呼び寄せる者。

 その強大すぎる力を人々は恐れ、いつしか森は、誰一人として近づかぬ禁忌の地となっていました。
 けれど、恐れられる一族の中にたった一人、不思議な名を持つ者がいたのです。

 人々は畏敬の念を込めて、彼女をこう呼びました。――『希望の魔法使い』と。
 これは、因果を紡ぐ魔法使いが歩んだ、愛と再生の物語。

「人間という生き物は、つくづく愚かなものですね」

 魔法の国の静謐な空気を、冷ややかな呟きが震わせました。

 事の始まりは、人間の国から届いた一通の手紙。大広間に集まった長老たちの前で、長(おさ)である『マザー・ベル』がその封を解きました。

 書面をなぞる彼女の瞳に、悲しみの色が滲みます。

「なんということでしょう……。彼らは、戦争に加担せよと命じてきたのです」

 周囲を囲む灯籠(とうろう)の火が、困惑したように揺らぎました。

「それだけではありません。敵国には、あの『負の魔法使い』が背後についていると記されています」

 その名が発せられた瞬間、広間は地鳴りのようなどよめきに包まれました。