ひらけ、ムコウ側の世界!




「よし、それじゃあいいな〜!」


教師がめっちゃ遠くから、そう叫んだ。
片手には…肉眼では見えねぇけど、ライターが握られてると思う。

俺らはすぐさま風呂に入り、着替えて校庭に戻った。
そして今は、校庭にある小さなベンチに座ってるところ。


「…てか、たかが市販の打ち上げ花火だし。あんまデカくねぇだろ?もうちょい近づいた方が…」

「もー何言ってんの!あたしが大きくするんじゃん!」


夏那恵がムスッとして言ってくる。
いやいや、それでもだろ。だって今、俺ら400mくらい離れてるし。

だけど…それは見くびってたって、すぐに分かる。


「いくぞ〜!!」

「はーいっ!!」


教師の大きな声に、負けじと樹が返す。
そして点火したと思われる打ち上げ花火は、空高くへと打ち上がる…って、あれ?

市販だし、あんな高くまで飛ばなくね…!?


「夏那恵!こんぐらいでいい〜?」

「ん!上出来!!」


横から声がしたと思えば、陽介が花火に手をかざしていた。

まさか…陽介の火の能力で、打ち上げる高さ調節したとか?
さすがにスゴすぎるだろ……


ヒューっ ドォンっ!!!


花火の音とともに、俺はすぐさま視線を戻す。
そこには……


「すげぇっ……」


花がぱあっと綻びるかのような。
美しく大きい光景が、空に広がっていた。


「か、かなえちゃん凄いっ!」

「えへへ。じゃあもう少しっ!」


もはや花火大会を超えるクオリティーを持つその花火は、キラリとさらに強く光った。


「……!」


俺は花火に釘付けになるしか無かった。
だって…綺麗だったから。それだけの話。