「………」
刃物…には、正直驚かない。
不良やってたし、ナイフ使った喧嘩なんて日常茶飯事まであった。
でも、樹に向けられてるっていうのは話が違う。
「君のほうか。ムコウ側の人間って」
不気味な笑顔を浮かべて俺の方を見る男。
若そうだけど、多分大学生くらいか?
てかさっきの風は、急に来たことも考えると能力。
…ん?ちょっと待てよコイツ、どこかで見覚えがある気が…?
「…あ、カードオタク!」
「いやなんだよそのあだ名!!」
え、意外とノリいい…じゃなくて!
見覚えがあると思ったら、あのカード店でセールやってた時に荒れてたヤツ!!
あの時は竜巻だったけど、風が巻上がって竜巻はできるから…納得できる。
「あーもう、調子狂うなぁ!!」
声を荒らげて、カードオタクは刃物をギュッとかたく握り直した。
刃物を向けられた樹は無表情…え、無表情?
驚いて2度見したけど、それに構わずカードオタクが強く言葉を放った。
「コイツは今、人質だ。返してほしけりゃ、ムコウ側の人間であるお前はオレらに着いてこい!」
