「さ、花火が見えやすいのはこっち〜!」
樹はいつもの人懐っこい表情に戻って、俺を見上げる。
俺と同い年なはずなのに…その時の樹は、どこか大人びていた。
「…あぁ」
でも今できるのは、きっと。
何も口出しせず…いつも通り接すること、かもしれない。
だけどそれまで樹のこんな顔を見るのは、やっぱり嫌だ。なんとか方法を……
ビュウっ
「うわっ」
突然、激しい風が俺らに襲いかかった。
ボーッという荒い音と、目を開けるのもままならない強風に立ち尽くす。
「っちょ、誰!?」
「樹!?」
横から、樹の切羽詰まった声が聞こえた。
俺が名前を呼ぶと、それに反応したかのように風が急に消え去った。
ばっと横を見ると、そこには__________
「あーまって、拉致る方ミスった」
見たことない男が、キラリと光るもの樹の首に突きつけていた。
それが『刃物』だって気づくのに、そう時間はかからなかった。
