ひらけ、ムコウ側の世界!



俺は、真っ黒になったやきそばの器を抱えてラムネ屋へと駆け寄った。


「あれ、龍くん?陽くんはいいの?」

「あぁ。まだやきそば屋手伝うってさ」


『俺はまだここで火をやるから、他のとこ周ってくれ!花火までには戻る!』


…って、陽介は言ってた。

俺はあそこで無限にやきそばを食ってても良かったが…一応ほかの店も見て回ろうと思ったのであそこを離れた。

てか陽介さっき『俺もここの味の良さは、よく分かんねぇけど』みたいなこと言ってた気がする。


(まぁ気のせいか)


だって美味いもんな!やきそば!


「てか龍我、アンタのやきそば…さっきより黒くない?」

「おう。でもさっきより苦味が増してて美味かった」


ほんとになんであんな美味いんだろ…
俺が正直に感想を述べると、夏那恵はぽつりと何かを言った。


「味覚どうかしてる…」

「ん?今なんて言った?」

「な、なんでもない!!」


またはぐらかされた…なんて言ったんだろ?
気になったけど、聞く前に静が「…あ」と声を漏らした。


「せいくん、どうしたの?」

「いや…」


真白が声をかけると、静はふっと視線を逸らした。
どうしたんだろ…?
だけど視線を逸らした理由は、すぐ分かった。


「あら、静ちゃんじゃない!わざわざ来てくれたのねぇ!」


ふと、誰かが静の名前を呼んだ。
目を逸らしていた静は、悪事がバレたかのように「げ…」と苦い声を出す。