ひらけ、ムコウ側の世界!



「はは!全員、飲み物買いに行ったのな!」


陽介が火に手をかざしながら、そう言ってくる。

なぜかやきそばを口にした4人は、みんなしてラムネを買いに行った。なんでだろな?


「てか、めっちゃ美味かった。もう1つくれね?」


俺がそう言うと、陽介は驚いた表情をした。
え、なんでそんなに驚く…?


「…いい顔してんな、龍我」

「そう?やきそばが美味かったから」


いい顔をしてるのは認める。美味しいものを食べたら、幸福に包まれるのは当たり前でしょ。


「俺の能力ってさぁ、よく怖がられるんだよ」

「…火、だから?」

「そ。単純に、やけどとか怖いことばっかだろ?人間はよく利用してんのになー」


陽介は、ぽつりと語り出した。
その表情はどこか、寂しげに見える。

そしてふと、陽介は視線を火に向けた。
パチパチ…じゃなくて、ボーボー勢いよく燃えてる火。

その火と陽介を見たら、自然と伝えたいことが出てきた。


「…ありがと」

「え?何が?」


俺が感謝を述べると、陽介はきょとんとした。


「俺に『美味い』って思わせてくれて」

「え、でも作ったのはおっちゃんだし……」

「なに謙遜してんの。あんな独特な味を引き出したのは、陽介の能力のおかげだろ」


その能力があったから…あの味が生まれた。


「お前の火は、1人を笑顔にした…それじゃダメか?」


俺が聞くと、陽介は一瞬目を見開いて…やがて、幸せそうな表情へと移り変っていった。

それと同時に……


「ふは、嬉しい。ありがとな!!」

「…あぁ。それと陽介……」

「よーし!この調子でバンバン焼いてくぞー!」

「おい、聞けって…!」

「次は火加減を…」


陽介がバッと振り返り、火を見た。
そしてあんぐりと口を開けたのだ。


「やべっ、燃やしすぎたー!!」


慌てて火を弱めようとしたら、店主が「そのままでいい!」って言った。火事にならねぇか心配だけど…