ひらけ、ムコウ側の世界!



「……」


そして、さっきから無言な静。
騒がしいところ苦手か?と思ったけど、なんかいつもより表情が明るい気がする。無表情だけど。


「で、でも…ほら!なんか浴衣って特別だし、雰囲気出てるよね!」


しどろもどろに、弱々しく自分の意見を言った真白。
まぁ…動きにくいけど、今日くらい良いか。


「って、あ!射的あるよ〜!」


樹が指さした先には、元の世界と全く変わりのない射的屋だった。
それにすぐさま反応したのは、やっぱり…


「おー!!行こうぜ!1番落とせたヤツの勝ちな〜!」

「…陽介はいつも勝負したがる」

「なんだよ!じゃあ静はやらねーのか?」


煽り調で言った陽介の言葉に、静はピキっと青筋が浮かぶ。
お、珍しく静が煽られてる!と思ったのもつかの間。


「別にやってもいいけど。去年おれに負けたの誰?」

「ぐっ…でも今年は勝つし!!」

「そういって2連敗しないといいね〜」


静がクスッと笑う。
あ、結局こうなるのな?やっぱ口喧嘩では総長並に強いんだよな、静って。


「僕はいちご飴でも買ってこよ〜!」


射的に興味すら持ってない樹が、いちご飴の売ってる屋台へと行ってしまった。


「なぁ龍我!お前はやるよな!?」

「俺はパス。やきそば食ってくる」

「え!?ちょ、やきそばだけは待てって!先にわたあめでも買ってこいよ!」


「射的やって!」じゃなくて「わたあめ買ってこい!」ってなんだよ。
てかわたあめって、俺女子じゃねーし!!


「あ、私はベビーカステラ買ってくるね」

「あたしは…って、金魚すくい!欲しかったのよね〜!!」


女子の2人もそれぞれ散っていき、一緒に来た意味とは?と聞きたくなってしまった。


「…やることもねーし、付き合う」

「龍我、射的やってくれんの!?よっしゃー!」


陽介が笑顔でガッツポーズをしてきた。
まぁ…やるからには、2人の戦いから勝利を漁夫の利してやる。

俺は1人でに、心の中で闘志を燃やしたのだった。