ひらけ、ムコウ側の世界!



苦しげに、放たれた一言。

『誘拐』

その1単語は、俺の心にずっしりと響いた。
重たいものが俺にのしかかって、離れない。


「もうっ、嫌なの!!龍くんが居なくなったら、僕は…」


拳を胸の前で握りしめて、顔を下に向ける樹。
まるで心にぽっかり空いた空白を探し求めてるみたいな…そんな気がした。


「…樹」


ポンっ、と静は樹の頭に優しく手を乗せた。

2人の表情を見たら、もう何も言えなくなってしまった。

大切な人が、急に誰かに奪われて。もう二度とと会えなくなってしまう。
そんな経験は…俺にだってあるから。