「…よしっ、決めた!!」
夏那恵が服を何着か持ちながら、俺の方を振り返ってくる。
「これ、全部買お!!」
「…は?」
俺はきょとんとした声が意図せず出てしまった。
だって、夏那恵のカゴに入ってる服は1、2…って10着!?
「べ、別にいーよ!!俺金も持ってねーし!」
「お金?そんなの大丈夫〜!あたしが払うし!」
「それがいけねーんだよ!!」
ちょっとダークな雰囲気を出してるこの店は、俺らの賑やかな声で台無しになってる。
でも騒ぐのも当然だろ!?だって払わせるとか…!!
「あ、服が好みじゃないとか?」
「え?いやそれは、別に……」
「じゃあ決定〜♪」
俺が否定しなかったことにより、なんか買う流れになってしまった。
でも、でも…!!
なんとか断る方法を考えてると、夏那恵はふっと小さく笑った。
「いいんだって。あたしが勝手に連れてきたんだし、アンタはこの世界を存分に楽しみな!」
「ま、ムコウの世界と変わんないかもだけど」と言い、俺が止める間もなくレジの方へとかけ足で行ってしまった。
でも…ここまで言われたら止めれないし、俺は迷った末に夏那恵に甘え買ってもらうことにした。
…俺に、こんなにも尽くしてくれてんだし。
「…ありがとな」
「全然!いいってことよ〜!」
レジから戻ってきた夏那恵から商品袋を受け取り、俺はそう言った。
それじゃあフードコートに行くか…と思ったが、夏那恵はフードコートと真逆に進んでいく。
「ちょ…どこ行くんだよ?」
俺が夏那恵に問いかけると、彼女は「ん?」と振り返って首を傾げた。
「どこって…今日行った店の服、買いに行くに決まってんじゃん!!」
「な、マジかよ!?」
夏那恵が当たり前とでもいうかのようにそう言ったので、俺は頭を抱えた。
