ひらけ、ムコウ側の世界!



服とか格好とか、過ごしやすければどーでもよかった。

だから夏那恵の気に入らないところがあるなら、勝手にコーディネートすればと思ってた。

……だけど!!


「あーこれいいかも!いやっ、でもこっちの方が…?」


俺の目の前で、目を輝かせて服を手に取る夏那恵。

この店で…たぶん、6軒目。
これ聞いて欲しい。30分くらいで6軒だぜ?

さすがのペースに俺もくたくた。

なのにアイツは!!俺より体力ねぇはずなのに、ピンピンしてんだぜ!?
陽介ですら疲れるくらいだろ……

色んな意味で恐ろしいな……


「んー」


ふと気がつくと、夏那恵はスマホを触ってなにかを見ていた。


「なにしてんの?」


俺が聞くと、夏那恵はスマホを見ながら言った。


「行った店の服から、これに合うのを選んでんの。どれが合うかなーって」

「へー?服選びって面倒なんだな」


純粋な気持ちで呟いたら、夏那恵は「わかってないなー」って言ってニヤリと笑った。


「その面倒な工程を踏んだ先に、さいっこうの結果が待ってる!!それを追い求めるのがいいのよ〜」


語尾に音符が付きそうなくらいご機嫌な夏那恵は、店の奥の方へと歩いていってしまった。


(……はっ、オシャレ馬鹿だな)


好きなことに打ち込めるのは、羨ましいこと。

それは、打ち込めるものがないから初めてわかるんだ。