ひらけ、ムコウ側の世界!



だって…今俺が書き込んでるノートは、静から貰ったやつ。

それだけじゃなくて、俺が折りそうになったえんぴつや、消しゴム…さらには教科書まで貸してくれた。

静いわく『予習はしてあるから』とのこと。
それでも教科書を貸すなんて、いくら考えたってしない。

どれだけイタズラとかする性格だったとしても、根は優しいんだなってわかったから、怒ろうとも思わないってわけ。


「……」

「…え、怒んないの?」


俺の反応に、意外だと言わんばかりに顔を覗き込んでくる。


俺が愚痴らなかったからか、静はみるみる顔を輝かせて言って……


「……気に入った」


心の底からそう思っているような表情で、静は小さく笑った。


「な、何言ってんの?」

「…べーつに、何も言ってない」


なんかはぐらかしてるけど、俺には聞こえたからな!?

『気に入った』って言ってたのわかるから!!
…でも、なにが気に入ったんだ?

疑問に思ってたら、静は教科書を指さして言ってきた。


「ここは、X=56」

「もう信じねーし!!てか、なんで答え……」

「じゃあ次の問題も龍我!」


俺らの会話なんて一切聞いてなかったらしい教師が、たった今静が指さした問題を言ってきた。

てかもう信じねーから!!そうと決まれば、56以外の数字を……!


「X=7」

「ち、違う。X=56だ」

「…は!?」


X=56って、静が言った答えじゃんか…!!


「ふふ、面白いなぁ……」


静の方をまた見てみると、楽しげに笑っていた。

くっそぉ…手のひらで転がされてる!俺、めーっちゃ遊ばれてるじゃねぇか!!

悔しさから、唇をギュッと噛んだ。