ひらけ、ムコウ側の世界!


* * *



「はぁ〜っ、終わった……」


どっと疲れがやってきて、俺は肩を下ろす。

真面目に授業受けるのは久しぶりだわ。
だってあっちの世界では、ほぼ能力が飛び交う動物園状態だし。

でも…悪くなかったな。

俺はそう思いながら、バックから鍵を取り出す。
家では寝るか……


ガチャッ


そう呑気に考えて、扉を開けた_______


「龍くんっ!おかえり〜!!」


元気な声とともに、俺の家から誰か飛び出してきた!

びっくりして仰け反るけど、飛び出してきたヤツは俺の目の前でスタッと着地した。

そいつは……


「っ、樹…?」

「うん!樹だよ〜!!」


人懐っこい笑みを浮かべるそいつは、紛れもなく樹だった。


「え…俺、幻覚見えてる?どうしよ病院行くか…」

「ひっどーい!!僕のこと幻覚にしないでよっ!」


ムスッとした顔で言ってくるのは、何度瞬きして見てみても樹だって。


「な、なんでうちに…」

「んーとね、龍くんが突然いなくなったから…『龍くんに会いたい!』って鏡に願ったら、みんなここに来れたの!」


樹が嬉しそうにそう言った。
そ、そんなことあるのかよ……いやでも、俺がやった手順と一緒だ。

鏡の前で、会いたい人を思う…

もしかしたらそれが『ムコウ側の世界』に行くための条件なのかもしれない。


「…ん?てか、みんなって言った?」

「あ!そうだそうだっ!みんなにも言わなきゃ〜!」


俺の手を引いて、樹は俺の狭い家を走っていく。

今思えば、薄汚い俺ん家を見せんのすげー恥ずかしいんだけど…!!

と思ったが…俺の目に入った光景は、思いもよらぬものだった。