もう、わかんなかった。
あれが夢だったのか、現実だったかなんて……
そりゃあ能力が使える世界なんて、俺は日常になりつつあったけど、普通に考えればあるわけがない。
でも…認めたくなかった。
「……」
俺は手をギュッと握りしめる。
でも…でも、もう戻れない。だったら後悔なんてしても遅い。
あれが夢だったとしても、樹たちに別れの言葉を言えなかった俺が悪いんだ。
それに…
(アイツらとの思い出は、全部残ってるしな)
心の中に残ってるよ、全部。
よく静が水筒の水で作る、氷のアートも。
陽介が真っ黒にした、あの香ばしいやきそばも。
プロ選手に似せた動きをさせた、真白とのバスケも。
煌びやかに輝く、夏那恵が細工した花火も。
樹の怒りの表情と共に現れる、あの大きな落雷も。
思い出がフラッシュバックして、とてつもない速さで俺の頭の中を駆け巡る。
「…変われたよ、5人と会えたから」
どうせなら、本人たちに伝えたかったな。
「…ありがとう」
俺の小さな呟きは、差し込む夕暮れの空に溶けていった。
その夕暮れは…いつの日か、鬼ごっこした日を思い出させた。
