春の日



  
 ショッピングモールの大きな自動ドアの入り口を入って行くと、中は涼しかった。
 
 エスカレーターで通った中庭では今日は幼児用のイベントをやっていて、キャラクターの形をした空気で膨らませる大きな遊び場があった。

 
 シアターは最上階にあった。
 乃々と碧は順番にエスカレーターを登っていった。


 派手な青色で塗られた壁の頭上に大きな映画の広告が見えてきて、乃々は映画館に着いた事を感じた。


「コーラ2つとポップコーン2つ」


 碧は、売り子に勝手に2人分払ってしまった。


 暗い映画館の赤いふかふかの座席に並んで座って、乃々と碧は映画が始まるのを待った。


「この椅子の座り心地好き。映画が始まる前の静かさも。真っ暗なのも。」

「緊張するね」

「そう?。僕は別に。ワクワクするけどね。」


 小声で言い合っているとぱっと明かりが点いて映画がいきなり始まった。

 映画はスーパーマンの出て来る映画で、ハラハラさせる山場のシーンが幾度もあって、乃々がその度に小声で話しかけるので、碧は鬱陶しそうに「しっ」と言って人差し指を口に当てた。