果たして日曜日。
早起きをした乃々は今日着ていく洋服で迷っていた。
春先で涼しい格好の方が良い気もしたが、七分袖はちょっと寒すぎる気もして。
結局、乃々はグレーのタートルに黒いミニスカート、下は黒いタイツと落ち着いた。
ピンポンとチャイムが鳴って、ドアを開けるとTシャツに七分のズボンの碧が居た。
碧は乃々を上から下までまじまじと眺めると、真顔のまま声を出した。
「う、わ。春なのに、うちの猫と同じ色。」
「駄目かな」
「別に何でも良いけど。普通は男と行く時はもっと可愛いのを着るよ。もっとも、可愛いって難しいけど。別に気にしない。」
碧はそう言ってから、靴のつま先をトントンと鳴らして、「もう行くよ」と言った。
お母さんに送り出されて、乃々と碧はバス停まで歩いて行った。
春先の事で、歩道の脇の街路樹の足元に小さな花が咲いている。
パステルカラーを着た自転車の女の人が横を通り過ぎていく。
「乗り方分かる?」
商店街の大通りに出て、標識の立っている屋根のあるバス停まで着くと、碧が聞いた。
「乗った事ある?。一人で。」
乃々が首を振ると、碧がバス停の丸い標識を指した。
「西町駅行き。映画館のあるショッピングモールで停まるから、簡単だよ。」
乃々はベンチに座ったが、碧は乃々の斜め前に立った。
日が差す方に碧が立ったので、碧の方を見る乃々はまぶしくて目を細めた。
碧の黒い髪は日差しが当たると焦げ茶に見えた。
「なんでそんな暗い色の洋服を選んだの?」
「モノトーン、格好良いから」
「ふーん。うちの猫もそんな色。乃々は青を着なよ。」
やがてバスが来て、2人を乗せて走り出した。

