Sideランドレン
この国では白は不吉な色として忌み嫌われている。
僕はこの城の守り主だ。
僕たちの一族がこんなことになったのは古代のこと。
先祖がこの国の忌まわしい王族の罪を許してもらうよう、神に頼んだのがきっかけだった。
僕たちの一族は神に近い半神半人。
つまり、神と話すこともできる。
その力を利用しようとした古代の国王が神へ無礼を働いた。
それを許してもらうよう頼んだのが先祖だ。
その感謝として城と生贄という名の花嫁を送りつけてきた。
もう何百年も先祖はこの感謝というものに困らされてきた。
(今年も名ばかりの花嫁が送られてくる時期か)
送られてきた人間は人気のない村や隣国などに送り出している。
来た人間は初めに僕を見て嫌そうな顔をする。
僕が白髪だから。僕のせいで生贄に出されたから。
正直もううんざりしている。
――――そんな日々
ある日、神の水晶で国を見ていたとき。
偶然、本当に偶然、白髪の少女に出会った。
出会うというより一方的に見つけた、という感じだった。
一瞬にして心を奪われた。
目が離せない。彼女の目に映りたい。
今考えればおかしな話だ。
しかし、その時は運命のような気がした。
〝彼女が欲しい〟〝彼女を誰かに取られたくない〟
初めて自分の中にそんな感情が生まれた。
花嫁は彼女がいい。
それから毎日彼女を神の水晶で見るようになった。
ストーカーのようなことをしている自覚はあった。
でも、彼女が僕が見ていないところで誰かに取られたらと考えると気が気ではなかった。
その後、花嫁を差し出す時期になったとき、僕は彼女を所望した。
あの腐った人間たちも僕の願いと聞けば必ず動くことを知っている。
でも、どうやら違う娘に手紙を送ったみたいだ。
けど、彼女の母親がうまいこと入れ変えたようだね。
ここに関しては母親に1つ感謝しなきゃだ。
だけど、彼女への扱いには少々気になるところがある。
あの態度は…、少々懲らしめなくてはいけないようだ。
そして今日、待ちに待った彼女がこちらへ来る日だ。
あぁ、本当に嬉しい。
―――夜
面倒くさい仕事を終えて、彼女を寝かせたと言っていた寝室に真っ先に向かった。
まだ夜の早い方だが彼女はもう寝ているだろうか?
(あぁ、早く会いたい…)
彼女を起こさないようにゆっくり扉を空けて入る。
真っ暗な部屋。
僕が用意した彼女専用のベッドで寝ている彼女。
相当疲れていたのか、可愛い体勢で無防備に丸くなっていた。
(僕が用意した部屋で、ベッドで、洋服で…、君がここにいる…。どれだけこの時を待ったか…!)
ベッドの縁に腰を下ろして彼女の寝顔を満喫する。
「ホントに、見れば見るほど欲しくなる。君がここに来たからには一生大切にするよ。僕だけのものとして。」
それからしばらく彼女の髪の毛をくるくるとして遊んだりしていた。
「んー……。」
彼女が眠そうに目を擦りながら目を開けた。
(こんな時も可愛いなぁ…)
そしてキョロキョロした後、頑張ってサイドテーブルのランプに手を伸ばす彼女。
カチッと音をたてて明るくなったベッド。
「へ……………」
可愛いい間抜けな声が響いた。
(はぁ、可愛い可愛い可愛い。)
「起こしてしまってすみません。よく眠れましたか?」
起き上がろうとする彼女の腰に手を回し、起き上がるのを手伝う。
「は、はい…。あ、あの…どちら様でしょうか…?」
そりゃそうだろうなぁ…。僕は君のこと、なんでも知ってるけど、君は僕を知らないしね。
「あぁ、自己紹介がまだでしたね。僕はルーウェルト・ランドレン。この屋敷の主です。そして――――」
これだけは言っておこう。
君を逃さない。
君の一生を共にする――――
「貴方の、〝たった一人〟の夫です。」
そして彼女の白い髪の毛にキスをした。
「は、はじめまして…。えっと、リリエール・フレフランと申します…」
(知ってるよ)
理由のわからないことを言われてもなお、礼儀を守る姿も好きだ。

