―――――フォリア国
「リリエール!ステリアに温かい飲み物を持ってきて!」
小さな家に響く甲高い声。
「は、はい!お母様…!」
家の中をせわしなく走り回っているのは、透き通る白色の髪を腰まで垂らした少女だ。
名はリリエール。
病弱な妹に付きっきりの母親に代わり、家の家事をすべてやっている。
このフォリア国では白色の髪は良くないとされている。
そのためにリリエールの扱いは酷いものだった。
(ステリアに温かい飲み物を持っていかなきゃ…!)
リリエールは走りながら温かい飲み物をステリアの部屋に運んだ。
扉を叩き、部屋に入る。
母親はリリエールのほうをちらりと見てまたステリアに目線を移した。
そして、目も合わせず言い放つ。
「そこに置いておいて。ステリア、温かい飲み物は飲めるかしら…?」
当たり前のようにお礼はない。
リリエールもそれが当たり前だと思っていた。
ピンクの髪を短く切り揃えた病弱な妹。
それがステリア。
姉が白色の髪の毛なのだからピンクで生まれた妹を溺愛するのは当たり前だろう。
そう、それが当たり前だから。
―――そんな日々の中。
「いやぁぁぁぁ!」
母親の声がいつもより大きく響き渡る。
何事かとリリエールが駆け付けると母親は手紙らしきものを持って青ざめていた。
「お、お母様…?何があったんですか…?」
母親の手に握られている手紙にはフォリア国の印が押されている。
国からの手紙のようだ。
「そ、そんな…!ステリアをあの城の王子に生贄として差し出せですって…?いいえ、そんな事あってはならないわ…!」
リリエールには意味が分からなかった。
しかし、子供の頃から言い聞かせられていた「城の王子」だけは分かった。
この国には「呪われた城」がある。
フォリア国の王族が古代に犯した罪を許してもらうため建てられた城だ。
そしてその城に住む神と等しい半神半人。
そのために国で一番綺麗な少女を生贄として差し出さなければいけない。
フォリア国の災いをすべて引き受けている城の王子は悪魔のような姿をしているとか。
今までに生贄に出された娘はどうなったのか皆知らない。
生贄は5年に一度。
選ばれた娘とその家族は必ず生贄として送り出さなければいけない。
抗えば家族の命はない。
過去には娘を差し出すのを拒んだ家族が殺され、娘だけ生贄に出された歴史もあるくらいだ。
それほどこの国にとって生贄は大切な存在だ。
「あぁ…!ステリアを生贄に出すなんて…!!絶対、絶対にあってはならないわ…!!あぁ、そうだ。貴方を生贄に出せばいいのね…?」
母親はリリエールのほうを見て肩をつかんだ。
「痛っ……。」
「ねぇ、リリエール?私の子。貴方をここまで育てたのよ。可愛い自分の妹のために死ねるわよね……?生贄として差し出されてちょうだい!」
急な母親からの言葉。
意味が分からない。
(わ、私がステリアの代わりに生贄に…?お母様苦しそうだわ…。私が行けば、お母様もステリアも幸せになれる?私が行けば……?)
「ねぇ、リリエール?ここで恩お返してちょうだい!」
―――――数日後
リリエールは真っ白なドレスに身を包み、馬車に揺られていた。
(これから私は生贄に出されるけど、人の役に立って死ぬ。白の髪で生まれた私に課せられた使命なのかもしれないわ。)
もううんざりしていた。
いや、どこかで諦めていた。
自分がどんなに頑張ろうと私の評価は変わらない。
「着きました。降りてください。」
――いつの間にか着いていたようだ。
私は馬車を降り、業者の方にお礼を言った。
「ありがとうございました。帰りお気をつけて。」
馬車は早足にいなくなり、私は城の前に取り残された。
大きすぎるお城。
(皇室と同等か、それ以上あるのじゃないかしら…。)
リリエールは門に近づいた。
(だ、誰かいる…?)
騎士のような人が立っている。
声をかければいいのだろうか…?
「リリエール!ステリアに温かい飲み物を持ってきて!」
小さな家に響く甲高い声。
「は、はい!お母様…!」
家の中をせわしなく走り回っているのは、透き通る白色の髪を腰まで垂らした少女だ。
名はリリエール。
病弱な妹に付きっきりの母親に代わり、家の家事をすべてやっている。
このフォリア国では白色の髪は良くないとされている。
そのためにリリエールの扱いは酷いものだった。
(ステリアに温かい飲み物を持っていかなきゃ…!)
リリエールは走りながら温かい飲み物をステリアの部屋に運んだ。
扉を叩き、部屋に入る。
母親はリリエールのほうをちらりと見てまたステリアに目線を移した。
そして、目も合わせず言い放つ。
「そこに置いておいて。ステリア、温かい飲み物は飲めるかしら…?」
当たり前のようにお礼はない。
リリエールもそれが当たり前だと思っていた。
ピンクの髪を短く切り揃えた病弱な妹。
それがステリア。
姉が白色の髪の毛なのだからピンクで生まれた妹を溺愛するのは当たり前だろう。
そう、それが当たり前だから。
―――そんな日々の中。
「いやぁぁぁぁ!」
母親の声がいつもより大きく響き渡る。
何事かとリリエールが駆け付けると母親は手紙らしきものを持って青ざめていた。
「お、お母様…?何があったんですか…?」
母親の手に握られている手紙にはフォリア国の印が押されている。
国からの手紙のようだ。
「そ、そんな…!ステリアをあの城の王子に生贄として差し出せですって…?いいえ、そんな事あってはならないわ…!」
リリエールには意味が分からなかった。
しかし、子供の頃から言い聞かせられていた「城の王子」だけは分かった。
この国には「呪われた城」がある。
フォリア国の王族が古代に犯した罪を許してもらうため建てられた城だ。
そしてその城に住む神と等しい半神半人。
そのために国で一番綺麗な少女を生贄として差し出さなければいけない。
フォリア国の災いをすべて引き受けている城の王子は悪魔のような姿をしているとか。
今までに生贄に出された娘はどうなったのか皆知らない。
生贄は5年に一度。
選ばれた娘とその家族は必ず生贄として送り出さなければいけない。
抗えば家族の命はない。
過去には娘を差し出すのを拒んだ家族が殺され、娘だけ生贄に出された歴史もあるくらいだ。
それほどこの国にとって生贄は大切な存在だ。
「あぁ…!ステリアを生贄に出すなんて…!!絶対、絶対にあってはならないわ…!!あぁ、そうだ。貴方を生贄に出せばいいのね…?」
母親はリリエールのほうを見て肩をつかんだ。
「痛っ……。」
「ねぇ、リリエール?私の子。貴方をここまで育てたのよ。可愛い自分の妹のために死ねるわよね……?生贄として差し出されてちょうだい!」
急な母親からの言葉。
意味が分からない。
(わ、私がステリアの代わりに生贄に…?お母様苦しそうだわ…。私が行けば、お母様もステリアも幸せになれる?私が行けば……?)
「ねぇ、リリエール?ここで恩お返してちょうだい!」
―――――数日後
リリエールは真っ白なドレスに身を包み、馬車に揺られていた。
(これから私は生贄に出されるけど、人の役に立って死ぬ。白の髪で生まれた私に課せられた使命なのかもしれないわ。)
もううんざりしていた。
いや、どこかで諦めていた。
自分がどんなに頑張ろうと私の評価は変わらない。
「着きました。降りてください。」
――いつの間にか着いていたようだ。
私は馬車を降り、業者の方にお礼を言った。
「ありがとうございました。帰りお気をつけて。」
馬車は早足にいなくなり、私は城の前に取り残された。
大きすぎるお城。
(皇室と同等か、それ以上あるのじゃないかしら…。)
リリエールは門に近づいた。
(だ、誰かいる…?)
騎士のような人が立っている。
声をかければいいのだろうか…?

