「あら、わたくしとしたことが! 口が過ぎましたわね」
「…………ゴホンッ」
父は誤魔化すように咳払いをする。
「魔法も使えないお前の扱いは最悪だろうな」
「……っ!」
ただでさえ敵国出身であり、魔法が使えない。
これ以上にない最低な状況である。
シャルレーヌは俯きつつ小さく震えていた。そして勢いよく顔を上げた。
「な、なんて素晴らしい嫁ぎ先なのでしょう! 今までで一番いい条件ですわね」
「……そう言うと思っていた」
呆れたような顔でこちらを見る
「それに魔法はとても強いのでしょう? わたくし、ついに死んでしまうかもしれませんね」
そのセリフとは裏腹に、シャルレーヌの唇は大きな弧を描いている。
「せいぜい楽しんでこい。もう二度と会うことはないだろうがな」
「任せてくださいませ。暗殺は得意分野ですから、一人ずつじっくりと嬲り殺して……」
「──違う違う違うっ! お前は大人しく側妃として慎ましく大人しく自由に暮らせばいいのだ!」
「嫌だわ、お父様。仕掛けられたらやり返す、という意味ですわ」
「嘘つけ……」



