サンドラクト王国から嫁いでくると聞き、カリマのような筋骨隆々の女性を想像するそうだが、シャルレーヌは模範的な令嬢そのものだ。
線は細くプラチナゴールドの髪を巻いていて、レースやリボンがあしらわれたドレスを好んで着ている。
童顔で切り揃えられている前髪のせいか実年齢よりも幼く見られることも多い。
父とはまったく似ておらず、昼間はほとんど部屋から出ない。
病弱という設定もあいまって、か弱い女性としてみられるのだ。
秘密も多いため、好奇心を誘うのだろうか。
次第に蜘蛛の巣にかかる虫のように身動きがとれなくなってしまう。
「それで今度はどこに嫁げばよろしいのですか?」
「……ナリニーユ帝国だ」
その言葉にシャルレーヌはわずかに目を見開いた。
「ナリニーユ帝国って、あのナリニーユ帝国ですわよね?」
「ああ、そうだ」
てっきりまた隣国に嫁がされるだろうと思っていたシャルレーヌだったが、予想を超えた大国の名前に大興奮だ。
胸元で手を合わせながら笑顔を作る。
さすがにこの帝国の名前が父から出てくるとは思わなかった。



