魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

エマニュエルとアナベルもさすがに驚いていた。
罪人でもないシャルレーヌが地下牢に入れられる理由を模索しているのかもしれない。


「あら、大したことではありません。居心地は案外いいのですから。じめっとしていて暗くて……小さなお友だちはたくさんできましたわ」

「……友だち?」

「うふふ……お食事の場ですし、これ以上はやめておきますわ」


微笑むシャルレーヌとは違い、なんとも言えない表情だ。
地下牢にいる小さなお友だちとはネズミや虫のことを指しているとわかる。


「もしかして二度結婚したというのが関係あるのですか?」


ベアトリスが冷静に質問をしていた。
どうやらサンドラクト国王から罰を与えられていると思っているようだ。


「いいえ? 自分の意思ですわ」

「…………」


ますます意味がわからないといった様子だが、シャルレーヌは笑顔を崩さない。


「だからこのお部屋でも十分です。あ、地下牢でも構いませんけれど! なんて、うふふ……!」


楽しげなのはシャルレーヌだけだ。

(あら、冗談を言ったつもりなのだけれど誰も笑ってはくれないのね。わたくし、寂しいわ……)

地獄のような空気ではあるが、そろそろ日を浴びすぎて限界が近い。


「ゴホッ、ゴホッ……!」

「シャルレーヌ様、大丈夫ですか?」


ルイが咳き込むシャルレーヌの背を撫でた。


「申し訳、ありませんっ、もう体調が……っ」

「大丈夫か?」


ヴィクトールの言葉になんとか頷いて、シャルレーヌは咳を後にする。
しかし去り際に伝えることを忘れない。


「皇帝陛下、お約束を忘れないでくださいませ」

「……わかっている」