魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

「医師や執事を派遣したが、そのような部屋にいると報告は受けていない……今すぐに確認しろ」


その言葉に後ろに控えていたオノレが動き出す。
エマニュエルもピクリと眉が動いているが、彼女は知らないフリを突き通すようだ。
しかしアナベルはそうはいかなかったようだ。


「手違いなのです! 本来、四人しか妃候補がおりません。ですから……っ」


ギロリとヴィクトールがアナベルを鋭く睨みつけた。
彼女は黙るしかなかったようだ。俯き、ドレスの裾をギュッと握った。


「ま、まだお部屋の準備ができていないだけですわ。お話が急だったものですもの。本日中には準備ができますから……っ」

「……どういうことだ」


慌てふためくアナベルを見て、シャルレーヌを歪む口元を押さえた。
エマニュエルは隠しもせずにアナベルをクスクスと嘲笑っている。
ナタリーは魔法の話を待っているのか聞き耳を立てつつ、肉料理を食べながらパンを千切っては口に含んでいた。
ベアトリスは呆れた表情で静観を続けていた。