魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

その空気をかき消すようにシャルレーヌは話題を変えた。


「それに今のお部屋は狭くて暗くて、とても落ち着きますわ。わたくしのために素敵なお部屋をありがとうございます」

「……っ!?」

「安心してお父様に手紙を書けそうですわ。とはいっても、わたくしにはライトもつけることができないのですけれど……!」

「「「「…………」」」」

「嫌ですわ。今は笑うところなのですけれど……」


静まり返った空間で、シャルレーヌは笑いをとれずに羞恥心から赤くなった頬を押さえた。

シャルレーヌがここまで言うとは思っていなかったのだろう。
アナベルの表情に焦りが滲む。


「……狭くて暗い? どういうことだ」

「そのままの意味ですけれど」

「魔法が使えなくても生活できるように予算を回したはずだが?」


(あら、皇帝陛下は意外とお優しいのですね)

彼の気遣いに驚いていた。ヴィクトールは明らかに苛立っている。
突然、ガチャンと大きな音と共に入り口にいたシェフや侍従たちが倒れてしまう。
妃たちもナタリーとシャルレーヌ以外は青ざめていた。

(皆さまは何かを感じ取っているのかしら……)

シャルレーヌには魔力がないため何もわからなかった。
ナタリーはヴィクトールの魔法を前に怯んでいないと考えるのが正解なのかもしれない。