魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

「アナベル様はそんなに焦って、どうされたのですか?」

「……っ」


裏表が激しいとは聞いていたが、表でも随分と脇が甘いようだ。
シャルレーヌがこうして急接近するとは思っていないため仕方ないにしても、ここまで動揺して口ごもれば何かあると言っているようだろう。

(ルイとロミが受けた仕打ちにはまだまだ足りませんわねぇ?)

シャルレーヌは思いついたように手を叩いたあとに口を開く。


「あぁ、なるほどですね。皆さまが焦るようなことではありませんわ。皇帝陛下の魔法を間近で拝見させていただきたいとお願いしただけなのです」


その言葉に先ほどまでまったく興味がなさそうだったナタリーの目に光が宿る。
彼女は持っていたナイフとフォークを置いて、穴が空いてしまうほどにこちらを凝視していた。

(魔法にしか興味がないというのは本当ですわね。つまり彼女は陛下の魔法が絡むと動く可能性がありそうね)

ナタリーの目的をなんとなく理解したが今は関係ない。
彼女もヴィクトールの魔法を近くで見たいのだろう。
うずうずしているのがわかったが、ベアトリスに止められていた。


「それでしたら、わたくしの魔法をみせてさしあげますわ!」

「……?」

「侍女たちもさまざまな魔法を使いますのよ? いろいろな魔法を見ることができますからっ」