「──お待ちください!」
(かかったわね……)
シャルレーヌの思惑通りにすぐに彼女が声を上げた。
「……アナベル?」
「陛下がいらっしゃるのなら、後宮のサロンでお会いするのはいかがでしょうか」
「…………」
「シャルレーヌ様もそう思うでしょう?」
アナベルはまくしたてるように早口でシャルレーヌに話を振った。
シャルレーヌは不思議そうに首を傾げた。
「どうしてでしょうか。わたくし、与えられた部屋はちゃんと綺麗に整えましたわ」
シャルレーヌの発言にアナベルに焦りが滲む。
あの部屋を当てがったのは、やはり彼女で間違いない。
そこに皇帝が来ることになり、犯人探しが始まればアナベルにとってマイナスになってしまう。
(急いで情報を収集して正解でしたわね)
次に何を言うのか、シャルレーヌはワクワクして待っていた。
「シャルレーヌ様、ご自分が何をおっしゃっているかわかっているのかしら?」
彼女の言葉には自分たちを敵に回すつもりかという意味が含まれつつ、牽制しているのだろう。
「もちろんですわ。わたくしは今日を楽しみにしておりましたし、皇帝陛下もあまり見られたくないでしょうから」
「で、ですがそれは……」
手を合わせて微笑むシャルレーヌとは違い、アナベルには焦りが滲む。
エマニュエルは含みがある言い方が気に入らないのか額に青筋が浮かんでいた。
彼女を無視して、畳み掛けるようにアナベルに問いかけた。



