魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意


こうしてシャルレーヌががっつくような態度を見せれば、妃たちは動かざるを得ない。必ず食いついてくるはずだ。
周囲から見れば、シャルレーヌが自分の役目を果たそうとヴィクトールにアピールしているように見えるだろう。
それに加えて自分たちの知らないところで何かの約束をしている。

(……気が気じゃないでしょうね。まだ自分たちですら一夜を共にしたことがないのに、帝国に来たばかりのわたくしが陛下と二人きりになるんですもの!)

まだ正妃争いが本格化していない段階ならば、一歩先んでるシャルレーヌのことが気に入らないはずだ。
それにシャルレーヌにはもう一つ企みがあった。
そのためにうまくヴィクトールを誘導しなければならない。


「いや、君の部屋に行く」

「かしこまりました。楽しみにお待ちしております」


ヴィクトールの予想通りの言葉にシャルレーヌの唇は弧を描く。
彼は妃たちを気遣った結果なのだろうが、逆にいい方に働いて何よりだ。
それに今、シャルレーヌがいる部屋は物置き部屋だ。
窓は一つしかなく、埃っぽくて狭くて過ごしずらいと普通ならば思うはずだ。
あの部屋を与えられて本気で喜んでいるのはシャルレーヌだけかもしれない。
そこに皇帝が来るとなれば一番焦るのは彼女だろう。