魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

訝しげに寄せられた眉。父の姿でも思い出しているのだろうか。
手を合わせて楽しげに微笑むシャルレーヌを憐れむような視線。
またはなんて恐れ多いことをと言いたげな表情に、くだらないとため息を吐く者。よりどりみどりである。

(意外と表情豊かなのね……こちらを馬鹿にしているから隙だらけですわ)

何を考えているのかと言いたげであるが、彼の反応を待っていた。


「……わかった」

「まぁ……! ありがとうございます」

「明日の朝食後に部屋に向かう」

「朝食後、ですか?」


どうやら朝食には妃たちと集まる場らしい。
彼女たちにとってはアピールの場で、ヴィクトールにとっても交流の場なのだそう。
そこにシャルレーヌも来いと言われて素直に頷いた。


「わたくしはいつでも構いませんわ」


ヴィクトールの唇がゆっくりと弧を描いていく。
それを止める者は誰もいない。モルガンもシャルレーヌとヴィクトールを交互に見つつ困惑していた。
シャルレーヌはサンドラクト王国のために己の役割を果たそうと判断したのかもしれない。
もしくは夜に寝首をかこうとしているとしていると思われたか。