魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

そう言いつつもヴィクトールを心底不満そうだ。
もうシャルレーヌの前で紳士的に振る舞うのをやめたのだろうか。


「それは、わたくしの願いを叶えていただけるということでしょうか?」

「……ああ、そうだ」


値踏みするような視線。これでシャルレーヌのことを推し量ろうとしているのかもしれない。
もしくは国の中枢を担っている者たちの前で晒しものにするつもりなのか。
シャルレーヌがあまりにも普通なため拍子抜けしてしまったのか。
それとも『ああ、やはりサンドラクト王国の王女だ』と、納得したいのか。
詳細はわからないが、頼み事を聞いてくれるというならば遠慮する必要はないだろう。
シャルレーヌに視線が集まっていたが気にすることなくあることを頼む。


「でしたら、陛下の魔法に触れさせてくださいませ」

「…………は?」


周囲は静まり返っていた。皆、目を見開いてこちらを見ている。
それだけ予想外だったということだろうか。
願いを叶えてもらうのなら、それがいい。
シャルレーヌが倒れた時に触れた感覚が忘れられない。


「……皇帝陛下?」

「どういうつもりだ。俺の魔法についてどこまで知っている?」


シャルレーヌが知っていることといえば闇魔法を使うということ。
大きな力で帝国を支配していることくらいだろうか。


「どこまで? お父様が闇魔法を使うとおっしゃっていましたわ」

「それだけか?」

「えぇ、あとは恐ろしいということでしょうか。わたくし、魔導具や魔石には何度か触れたことはありますが、魔法はまったく見たことがありませんの。お父様は魔法が大嫌いですから」

「…………」