「体調は大丈夫か?」
「昨日はご迷惑をおかけして申し訳こざいません。ルイとロミから皇帝陛下が助けてくださったとうかがいました。ありがとうございます」
シャルレーヌは深々と頭を下げた。
まだ万全ではないと遠回しに伝えることも忘れない。
「こちらこそすまなかった。伝達に手違いがあったらしい」
「……!」
ヴィクトールが素直に謝罪をしていたことに驚いていた。
その隣でモルガンが今にも泣きそうになっているのも気になるところだが、それよりも驚くのはヴィクトールの冷静な対応だ。
(お父様の口ぶりから傍若無人の皇帝かと思ったけれど、そうでもないのね。意外だわ)
最初だけかもしれないが、今のところ紳士的な対応で驚いていた。
(……拍子抜けもいいところですわね。お父様は何を恐れていたのかしら)
いきなり罵倒された方が、まだ楽しめたのかもしれない。
このままだと一年も持たずにサンドラクト王国に帰ることになりそうだ。
シャルレーヌが早々にヴィクトールへの興味を失っていた時だった。
「それで……俺にこう言わせただけの理由はあるんだろう? モルガン」
「……っ、申し訳ありません」
「お前が伝達が遅れるなどありえない」



