魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

場所が変わり、後宮では──。


「へぇ……なかなかに肝がすわっているじゃない。アナベルもそう思わない?」

「エマニュエル様、ほどほどにしませんと、皇帝陛下に怒られますわよ?」

「別にバレなければ、やっていないことと変わらないのよ。それに魔法を使っても魔力がないなら気づかないでしょう? こうして会話を聞かれているなんて思っていないわ」

「……まぁ、そうですわよね」


当然のように言うエマニュエルにアナベルの顔が引き攣っていく。


「それに帝国の空にはいろんなものが浮かんでいるわ。小さな球体が紛れ込んだところで誰も何も言わないわよ」


エマニュエルはワインレッドのストレートの髪をかき上げた。
レッドブラウンと瞳は猫のように細まっていた。
真っ赤な唇と胸元のあいたドレスは扇情的だ。
彼女がパチンと指を弾くと蝋燭の炎が一気について、周囲を明るく照らしていく。


「どうなっても知りませんわよ?」

「そういうアナベルも、あんな汚ったない物置き部屋を用意してヴィクトール陛下にバレたらどうするのよ」


アナベルはかわいらしく首を傾げた。