魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意


「このあとの予定は?」

「ありません」

「そう……どうして門番に放置されたのか説明してほしいと思っていたんだけど」

「落ち着き次第、皇帝陛下に謁見をと伝言をお預かりしております」

「あぁ、そう。今からでもいいのだけれど……」


シャルレーヌがそう言った瞬間、外から微かに音がした。
それが何かわかった瞬間に唇がゆっくりと弧を描く。

ルイは淡々と紅茶の隣に赤黒い液体が入ったグラスと軽食を置く。

(うふふ……本当に楽しませてくれそうだわ。これでしばらくは持つかしら)

シャルレーヌはグラスを手にとり、一気に飲み干した。
それから口端についてしまった液体を舌を滑らせて舐めとる。


「ああ……これが魔力ね。ふふっ、癖になりそう」

「それは何よりです」


シャルレーヌは微笑みつつ、グラスを置いた。


「シャルレーヌ様の体調が回復すれば、妃様たちがお茶会を開いてくださるそうですよ」

「まぁ……それは嬉しいお誘いねぇ」


妃たちと聞くだけで何かが起こる予感がする。
それだけで参加したいと思えた。


「陛下には明日の夕方か夜には謁見させていただくわ。わたくし、まだ陛下のお顔も知らないんですもの」

「かしこまりました」

「コホッ……明日、暗くなるまではゆっくりと休ませてもらうわね」

「はい、おやすみなさいませ」


その言葉を発したルイは部屋の端に立ち微動だにしなくなった。
ロミは再び部屋の前での護衛へと戻った。