魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

「今日もおいしいわ。また腕を上げたんじゃなくて?」

「もったいないお言葉です」


ほろりと口内で溶ける苦味の強い生地。
あまりのおいしさにシャルレーヌは頬を押さえた。


「シャルレーヌ様、本日はマドレーヌもございます。中にはアレをたっぷりと使っております」

「まぁ……! ありがとう、さすがロミね」

「紅茶のおかわりはいかがでしょう」

「お願いするわね。ルイの淹れる紅茶は世界一だわ。ゴホッ、コホ……」

「シャルレーヌ王女殿下、大丈夫ですか?」


ルイがすぐにシャルレーヌの背を摩った。


「もう……お父様が外の汚い空気を持ってきたからかしら」

「失礼な……」


シャルレーヌの両サイドには侍女のルイとロミという従者が控えていた。
顔はそっくりで見分けがつかないほどだ。
血のような赤い瞳と銀色の髪は前髪の分け目は違うが、編み込んだ三つ編みの長さも同じ。
彼らは皺一つない燕尾服と侍女服に身を包んでいる。
服が違えば、間違えてしまいそうになるほど瓜二つだ。

何も言わずにこちらを見つめる父を催促するように声をかける。
折角のティータイムもこのままでは楽しめない。