【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

「……だが、体に触るぞ」

「あら、お話いたしましたわよね? 弟のグレゴリーは毒に詳しいと。よく飲み物に混ぜられて実験体にされたものですわ」

「…………」

「一般に出回っている毒は、わたくしには効きませんわ」


ヴィクトールは怪訝な顔をしたが、今はシャルレーヌの話をじっくりと聞いている場合ではないのだろう。


「このグラスを持ってきた奴を捕えろ」


するとすぐに騎士たちがやってきて、先ほど飲み物を運んできたウェイターを捕らえる。
彼は涙を流しながら会場に響く声で叫んだ。


「僕は何も知らないんです! 本当ですっ、妹の病気を治してほしければこれを黙って運べと言われて……!」


治すという言葉で、ある人物が思い浮かぶ。


「まさか、アナベルか……?」

「は、はい! そうです。アナベル様が……」


男性が何度も頷いて肯定する。

(ことごとく裏切られてしまうのね……)

やはり会場に潜んでいたのはアナベルだったようだ。
男性は彼女に指示を受けて、飲み物をシャルレーヌの元に運んでいたことが明かされた。

『アナベル様もここまで落ちたのか』
『やはり噂は本当だったんだな。こんなことをするなんて』
『女神のようなシャルレーヌ様になんてことを……』

アナベルに失望する声が次々、耳に届く。
ヴィクトールがアナベルを捕らえるように指示を出していた時だ。