【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

テネブルに思いが伝わったのか、すぐに影に身を潜めた。
代わりにヴィクトールがグラスを手に取った。
そしてシャルレーヌは唇についた液体を舐め取る。


「んふふ……やっぱり毒ですわね」

「……毒、だと?」


ヴィクトールが目を見開く。
やっぱり、という台詞からシャルレーヌが毒だと理解しながらも飲んだと理解したのだろう。


「何故……」

「なんて甘ったるい毒なのかしら。このくらいでは指先が痺れる程度で、残念のがらわたくしは殺せはしませんわね」

「何を平然と言っているんだ……!」

「素人が用意したものかしら。それとも手加減を?」


毒が仕込まれた飲み物を飲んだシャルレーヌを心配してか、彼の表情には焦りが滲む。
会場は騒めいていた。
シャルレーヌの平然としている様子を見て、本当に毒なのかを疑う者もいた。
しかしすぐに毒かどうか魔法で調べることができる調査員が現れた。
会場に置かれている食べものはすべて彼のチェックを受けるそうだ。
調査員のおかげかすぐに毒だと判明した。


「すぐに医師を……っ」

「このくらいの毒、どうとでもありませんわ」


焦るヴィクトールを見てシャルレーヌは感心していた。
帝国民が仕込んだ毒でシャルレーヌが死んだとなれば、ナリニーユ帝国の立場が悪くなってしまう。
そのための演技なのかもしれない。