魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

(……冷たくて気持ちいいわ。ここにずっといたい)

そんな時、手のひらにひんやりとした何かが触れた。
ソレはシャルレーヌと親和性が高いものだとすぐに理解する。
サンドラクト王国で過ごしていた地下牢を彷彿とさせる闇だ。

縋りつくように擦り寄ると、黒い腕が少しだけ強張ったような気がした。
しかしすぐに引き離されてしまった。
顔を動かして確認しようとが、それを引き止めるように彼の瞳が大きく見開かれていた。


「チッ……面倒だな」


そんな言葉が耳に届いた。
今まで感じたことのない安心感にシャルレーヌはゆっくりと息を吐き出す。
そこで意識が途絶えてしまった。


──目を覚ますと薄暗い部屋の中にいた。


シャルレーヌはいつのまにか部屋の中に移動して、ベッドに寝かされていた。
首を動かして辺りをゆっくりと見回すと医師が声をかけてくる。


「……の、魔法に触れたと聞きましたが大丈夫ですか?」

「やはり気のせいでは? もし触れていたら正気ではいられないはずですから」

「そうですよね。とりあえずは皇帝陛下に目を覚ましたと報告してくれ」


忙しなく動き回る白衣を着た男性たちを眺めていた。
カーテンから光は漏れていない。どうやら意識を失っている間に夜になったようだ。

(……出迎えは放置されていたけれど、案外普通の対応なのね。意外ですわ)