【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

しおらしく落ち込むふりをしていたものの、ヴィクトールはまったく反応することはない。
むしろ冷ややかな視線を送られているような気がしていた。
テネブルを通じてシャルレーヌの愛の告白を聞き続けていたヴィクトールはもっといい反応をしてくれたはずなのだが、今日は無反応だ。

(今までとは違って、まったく興味が持たれないのも楽しいものですわね)

そんな反応も目新しくてシャルレーヌにとってはおもしろいのだ。


「それにしてもサンドラクト王国の言う通りだな。清廉な見た目とは裏腹に随分と悪女のようだ」

「あら、陛下こそ。無関心なふりして随分な野心家ですのね」

「愚か者では帝国をまとめられないだろう?」

「……それはどうでしょうか」


シャルレーヌはサンドラクト国王の自由すぎる姿を思い出していた。
あれだけ好き勝手している暴君でも周りの側近たちのおかげで、うまく国をまとめられているのかもしれない。
最近では歳のせいか、保身に走っているような気もするが、圧倒的な強さで皆に慕われている。

(わたくしがいなくなって、胃痛はよくなったかしら)

調子に乗って酒を飲みすぎて、胃を悪くしているのではないかと想像しつつ微笑んでいると……。


「お前にはまだまだ役に立ってもらう」

「あら、それはこちらの台詞ですわ。もしもわたくしを失望させるようなことがあれば……」

「あれば……?」

「テネブルと一緒に帝国外に逃げましょうかしら」