【完結】魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

(この国で積み上げてきたものが違うのよ……! わたくしが作った功績は揺るがないんだから)

ヴィクトールがシャルレーヌではなくアナベルの手を取ってくれると信じて疑わなかった。


「すべて聞いていた」

「は……?」

「テネブルを通じて聞こえていた。こう言えばわかるか?」

「テネ、ブル?」


アナベルは呆然としていた。
その名前は聞き覚えがある。エマニュエルの手紙に書いてあった男の名前だ。


「テネブルは……シャルレーヌ様の、密会相手ではないのですか?」


シャルレーヌはそれを聞いて、ヴィクトールは目を合わせている。
ヴィクトールは眉を寄せて、シャルレーヌはクスクスと笑いながら影の触手を撫でた。


「ふふっ、確かに密会相手ですわね」

「やっぱり! なんて不埒な……っ」

「テネブルはこの子ですわ。わたくしが名付けたのですよ」

「…………え? 嘘でしょう……?」


(テネブルが密会相手っていうのは嘘だったの?)

エマニュエルによればテネブルは密会している〝男〟だったはずだ。
しかし実際は人間ではなく、ヴィクトールの闇魔法だった。
アナベルはエマニュエルの意地悪な笑顔を思い出す。

(最悪……やられたわっ!)