魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

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「今日からここで暮らすのね」


シャルレーヌは聳え立つ立派な城の前に立ち、辺りをを眺めていた。
今日は生憎の青空。雲ひとつない空には眩しい太陽がギラギラと光を放っている。
それから見たことがない物体が浮かび、ふよふよと漂っていた。
これも魔法なのだろうか。

門の上では見たことがない目玉のようなものがギョロギョロと辺りを徘徊するように動いていた。
これが警備の役割を果たしているのか、来客を知らせているのかはわからない。
少し先の道には馬車は馬ではなく、よくわからない生物が走っている。
まるで異世界に迷い込んだようだ。


「見たことがないものばかりね。ゴホ……」


シャルレーヌは深く帽子を被りながら咳き込むのを押さえていた。
容赦なく降り注ぐ光を見ていると今にも倒れそうだ。
ルイが傘をさしてくれているが、日差しを防ぎきれていない。
反射してくる光はシャルレーヌを蝕んでいき、何度も咳き込んでしまう。

(わたくしは試されているのかしら……)

今まで一切光が届かない地下牢にいたシャルレーヌにとってはつらいことだった。
ロミとルイは心配そうに声をかける。


「シャルレーヌ様、大丈夫ですか?」

「何もできずに申し訳ありません」

「ありがとう……ロミ、ルイ」


ロミが倒れそうな体を支えてくれているが限界は近い。
先ほど門に立っていた男性に声をかけてから、もう三十分ほど待たされているが、なんの音沙汰もなく放置されていた。