魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

彼がいなくなったことで緊迫感のあった空気は解けていき、四人は料理に手をつけてフォークを口元に運んでいく。


「正妃に選ばれないと意味はありませんわ。きっとヴィクトール陛下に触れられるのはただ一人だけなのです。そう思うと一途で素敵ではありませんか」

「これからは正妃になるための蹴落としあいですもの。サンドラクト王国の第二王女はとんでもない悪女か、はたまた国王の人形か、私たちが見極めませんといけませんわねぇ?」

「心の底からどうでもいいです。自分のやるべきことをやるだけですよ」

「でも病弱なんでしょう? 魔法も使えない時点で勝負にもならないじゃない。また王国に逃げ帰るのがオチよ」

「ですが折角、ナリニーユ帝国にいらっしゃるんですもの。魔法の素晴らしさを自国で広げていただきたいですわね」

「魔法、使えない……興味ない」


これから始まるのは正妃になるための蹴落としあいだ。
巻き込まれた彼女には申し訳ないが、魔法大国において魔法が使えないこと自体で意味がない。
王妃になる資格はないのだ。それだけは共通認識だった。
恐らくヴィクトールもサンドラクト王国と波風立てずに共存していくための道具にすぎないと思っている。

そんななかで正妃争いに参加しなければならないのは可哀想だが、シャルレーヌにいい印象は抱いていない。
魔法に体術など無意味。病弱の王女となれば尚更だ。
それにナリニーユ帝国は今まで彼女が嫁いできた国とは格が違う。

妃に選ばれてここにいる時点で、帝国の女性たちの中でもっとも強い力を持っている四人と言っても過言ではないのだから。

だがこの時、彼女たちは知らなかったのだ。
シャルレーヌという魔力ゼロの病弱なはずの王女が、もっとも危険で容赦のない悪女ということに……。