これ以上、彼らに話したとしてもシャルレーヌの特にはならない。
それからシャルレーヌはヴィクトールとオノレ、モルガンの三人とともに部屋に送ってもらっていた。
その後ろからはルイとロミが続く。
部屋に入る前、カラスが銀の小さなボールを咥えていた。
(またですの? 懲りない方……)
恐らくエマニュエルの仕業だろうが、何度も何度も仕掛けてくるため飽き飽きしていた。
しかしここにはヴィクトールがいる。
(ふふっ、いいことを思いつきましたわ!)
シャルレーヌはいつもは壊してしまう銀の玉を受け取り、ヴィクトールたちに見せる。
何も知らないふりをして問いかけた。
「またこの玉……カラスたちが何度も持ってくるのですが、陛下たちはご存知ですか?」
「……これは」
「ナリニーユ帝国ではこのような玉が浮かんでいるのが普通なのでしょうか? カラスたちは光り物が好きなようで壊してしまっているのですが……」
ヴィクトールは銀の玉を摘むとクルクルと回して眉を寄せた。
「いつからこれを?」
「ここに来てからずっとですわね。カラスたちが壊しても、わたくしの部屋の周りに常に浮かんでいるので、何かの役割があるのですか?」
「これは魔導具だ。誰かが会話を盗聴している」
「…………そんなっ」
シャルレーヌはわざと知らないふりをして、ショックを受けているというリアクションをする。
そちらの方が都合がいいからだ。
「よくあることなのですか?」
「いや……こんな高価なもの、なかなか手に入らないはずだ」
ヴィクトールは苛立ちを隠せない。
「犯人は突き止める。しばらくは警戒してくれ……オノレ、モルガン、行くぞ」
「は、はいっ」
「かしこまりました」
三人は背を向けて暗闇に消えていく。
シャルレーヌは三人とテネブルを見送り終わったあとに、クスリと笑みを浮かべた。
「あらあら、これからどうなるのかしら」
まだまだ楽しくなりそうだと、シャルレーヌは笑みを深めた。



