魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

父は再び腹の上部分を押さえて苦悶の表情を浮かべていた。
その表情を見ていると紅茶とお菓子が進む。
しかし痛みが治ったのか、反撃とばかりに口を開く。


「はっ……余裕なのは今のうちだぞ? 魔法は嫌いだが、皇帝の持つ魔法の強さは一目置いている。なんせ一瞬で勝負が決まるらしいからな」

「一瞬で……?」

「我らが攻撃する暇すらないらしい。魔法でも彼には敵わないという……詳しくは知らんがな」

「そんな魔法があるのですね」

「触れれば死ぬ。闇魔法というらしい」


魔法はおろか、武術などまったく歯がたたないということだろう。

(つまり殴り飛ばそうとしても触れれば死ぬんですものね。闇魔法……なんて興味深いのかしら!)

候補者に入っていなかったのにもかかわらず、圧倒的な魔法の力で皇帝に登り詰めたそうだ。
誰にも彼に逆らえないのだ。闇魔法はすべてを呑み込んでしまう。

その噂を聞いた父も、さすがにその力を警戒しているようだ。
様子見も兼ねてシャルレーヌを嫁がせようとしているのかもしれない。
後宮には側妃が集まり住んでいる。正妃のみが皇帝とともにいることが許される。