面接室は、校舎の空気に負けないくらい古めかしかった。重そうな机に、背の高い時計、分厚いカーテン。面接官は三人。真ん中の年配の男が、俺を見るなり言った。
「座ってください」
「失礼します」
椅子に腰を下ろしかけたところで、左の面接官が言った。
「やはり立ったままで」
「どっちですか」
思わず聞き返したら、真ん中の面接官がほんの少しだけ笑った。
「今の反応を見たかった」
「先に言ってください」
右の面接官がさらさら何か書いた。たぶん減点じゃないと信じたい。
「では、志望動機を」
「えっと……授業料が無料だと聞いて、母に勧められて」
「正直だね」
「打算的だ」
「堅実とも言える」
また右の面接官のペンが走った。忙しいな、あの人。
「趣味は?」
「射的です」
「集中力がありそうだ」
「遊技に熱中するのは感心しない」
「家業が温泉街の射的屋なので、手伝いで」
「風情がある」
「温泉、行きたいですね~」
真ん中の面接官が咳払いをした。笑うのをこらえてるように見えたのは、気のせいじゃないと思う。
「では、有馬君。君は嘘が得意かな」
「苦手です」
「困る」
「好ましい」
今度は三人とも少しだけ黙った。それから、真ん中の面接官が指を組んだ。
「友人が規則を破った。見なかったことにできるか」
「内容によります」
「危険ではない」
「じゃあ理由を聞きます」
「危険なら?」
「止めます」
「嫌われたら?」
「それでも止めます」
「その友人が一人で怒られるとしても?」
俺は少し考えてから答えた。
「それは、置いていけません」
部屋の空気が、そこでほんの少し変わった気がした。真ん中の面接官が、さっきよりまっすぐ俺を見た。
「なぜ」
「嫌でしょう、一人は」
自分で言ってから、うまい答えじゃなかったなと思った。でも、ほかに言いようがなかった。俺はそういうのが苦手だ。気の利いたことを言おうとすると、だいたい失敗する。
なのに三人は妙に静かで、右の面接官だけがまた何か書いた。
なんなんだ、この学校。
「座ってください」
「失礼します」
椅子に腰を下ろしかけたところで、左の面接官が言った。
「やはり立ったままで」
「どっちですか」
思わず聞き返したら、真ん中の面接官がほんの少しだけ笑った。
「今の反応を見たかった」
「先に言ってください」
右の面接官がさらさら何か書いた。たぶん減点じゃないと信じたい。
「では、志望動機を」
「えっと……授業料が無料だと聞いて、母に勧められて」
「正直だね」
「打算的だ」
「堅実とも言える」
また右の面接官のペンが走った。忙しいな、あの人。
「趣味は?」
「射的です」
「集中力がありそうだ」
「遊技に熱中するのは感心しない」
「家業が温泉街の射的屋なので、手伝いで」
「風情がある」
「温泉、行きたいですね~」
真ん中の面接官が咳払いをした。笑うのをこらえてるように見えたのは、気のせいじゃないと思う。
「では、有馬君。君は嘘が得意かな」
「苦手です」
「困る」
「好ましい」
今度は三人とも少しだけ黙った。それから、真ん中の面接官が指を組んだ。
「友人が規則を破った。見なかったことにできるか」
「内容によります」
「危険ではない」
「じゃあ理由を聞きます」
「危険なら?」
「止めます」
「嫌われたら?」
「それでも止めます」
「その友人が一人で怒られるとしても?」
俺は少し考えてから答えた。
「それは、置いていけません」
部屋の空気が、そこでほんの少し変わった気がした。真ん中の面接官が、さっきよりまっすぐ俺を見た。
「なぜ」
「嫌でしょう、一人は」
自分で言ってから、うまい答えじゃなかったなと思った。でも、ほかに言いようがなかった。俺はそういうのが苦手だ。気の利いたことを言おうとすると、だいたい失敗する。
なのに三人は妙に静かで、右の面接官だけがまた何か書いた。
なんなんだ、この学校。



