零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――

俺が呼ぶと、真砂先輩は受話器を置いた。

驚いた顔はしなかった。むしろ、少しだけ目を細めただけだった。

「……零班か」

「それ、黒い封筒ですよね」

俺は机の上を指さした。

「昨日、校長室の金庫から盗ったの、先輩ですよね」

数秒の沈黙のあと、真砂先輩はあっさり言った。

「そうだ」

白鷺が思わず言った。

「うわ、自白が早い」

「聞かれていることに答えただけだ」

「模範解答みたいに言うなよ!」

真砂先輩は俺たち五人を順に見た。銀の生徒会章が、緑の灯りの下で鈍く光った。

「赤い封筒の試験は派手すぎた。全員がそっちを見る。なら、本命を抜くにはちょうどよかった」

火村が顔をしかめた。

「じゃあ、俺たち完全に煙幕じゃん」

「役に立ったな」

「感じ悪っ」

真砂先輩は火村を見もしなかった。

「おかげで見張りも教官も、一年の試験のほうへ意識を向けた。絵の裏の金庫を気にする者は少なかった」

「俺たちが気づいたけどな」

俺が言うと、真砂先輩の目がわずかに動いた。

「だから厄介なんだよ、君たちは」