零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――

闇の底から返ってきた金属音は、どう考えても「ようこそ」じゃなかった。

「今の、閉まる音だよな」

「開けて待つ音ではないな」

九条が即答した。

「言い方がいちいち腹立つ」

「腹を立ててる暇があるなら降りろ」

「正論なのが余計に腹立つ!」

白鷺が肩をすくめ、火村は階段の口をのぞきこんで目を輝かせていた。

「地下!秘密通路!通信ケーブル!最高!」

「単語の並びがもう危ないんだよ」

「俺はちょっとわくわくしてる」

「白鷺まで乗るな」

大河内だけが、暗い階段の下へ目を向けたままぼそっと言った。

「……冷える」

「そこは同意」

俺たちは展示戸棚の向こうの階段を、一段ずつ下りていった。