零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――

全部終わった頃には、空はもう夕方を通り越していた。足は疲れてるし、頭もいっぱいだし、入学してまだ一日も経ってないのに一週間くらい過ごした気がした。

寮へ戻る途中、白鷺が大きく伸びをした。

「いやあ、濃い一日だったねえ」

「濃いで済ませるなよ」

「でもちょっとだけ、班っぽくなってきたんじゃない?」

「どこが」

「こう、みんなで同時に怒られてる感じとか」

「そこを連帯感にするな」

火村が歩きながら言った。

「有馬の射撃、すごかったよ。今度、的の出る装置作るから使って」

「その装置、不安しかない」

九条はため息まじりに言った。

「有馬は嘘が下手すぎるが、目の使い方は悪くない」

「褒めてるのかけなしてるのかどっちだよ」

「両方だ」

大河内がぼそっと言った。

「……唐揚げ、守る」

「まだ昼の話してる!?」

そのときだった。

本校舎のほうから、低い鐘の音が三回鳴った。

からん、からん、からん。

授業の区切りとは違う音だった。回廊を歩いていた生徒たちが、いっせいに足を止める。上級生まで顔を上げていた。

嫌な予感がした。

すぐに放送が入った。

『中等部一年生は全員、大講堂へ集合。繰り返す。中等部一年生は全員、大講堂へ集合』

白鷺が目を輝かせた。

「なにこれ、サプライズ?」

九条は眉をひそめた。

「普通の連絡ではないな」

俺たちは顔を見合わせて、それから講堂へ向かった。